消化管(食道・胃・十二指腸・腸)

食道・胃・腸などの消化管の疾患としては、大腸がん・膵臓がん・食道がん・胃がんなどの悪性腫瘍、ポリープなどの良性腫瘍、逆流性食道炎・急性胃炎・胃潰瘍などの炎症性疾患やなどが挙げられます。
特に、胃がんと大腸がんは、男女ともに死亡原因のトップ3に入ります。少しでも気になることがございましたらお気軽にご相談ください。

消化管(食道・胃・十二指腸・腸)

部位別一覧
食道の病気
胃の病気
十二指腸の病気
大腸の病気
肛門の病気

食道の病気

胃食道逆流症(gatroesophageal reflux disease ; GERD)
症状 胸やけ・おくび・胸痛・つかえ感・のどの違和感・慢性の咳・味覚障害 など
説明 胃の内容物が食道内に逆流することによって生じるもので、胃カメラ(上部内視鏡)で食道胃接合部に潰瘍やただれ等の異常を見ることができます。放置すると、食道胃接合部がん発症のリスクとなります。
予防・治療法 胃酸を抑える薬・消化管機能改善薬・生活習慣の改善が必要です。

非びらん性胃食道逆流症(nonerosive reflux disease ; NERD)
症状 胃食道逆流症(GERD)と同じです
説明 胃食道逆流症(GERD)と同様に胃内容物が食道内に逆流することによって生じますが、胃カメラ(上部内視鏡)で検査をしても食道胃接合部に異常は見られないのが特徴です。
予防・治療法 このような方は胃液の産生が少量であり、胃酸を抑える薬での効果は4割程度と低くなります。薬物治療も行いますが、ストレスの解消や生活習慣の改善が重要です。また、漢方薬なども有効とされています。

食道がん
症状 胸やけ・胸痛・つかえ感
説明 男性に多く見られ、喫煙・飲酒・熱い物の摂取などと深い関係にあります。特に1日30本以上の喫煙や1日1.5合以上の飲酒をしている方は、非喫煙非飲酒者よりも約40倍も発生リスクが高くなります。また、フラッシング(わずかな飲酒ですぐに顔が赤くなること)のある方は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解する酵素が先天的に少なく、発がんリスクが高いことが明らかとなっています。
予防・治療法 食道は解剖学的に漿膜(しょうまく)という層がないため、早期に病気が進行する特徴があります。早期に発見できれば内視鏡にて切除が可能な時代です。飲酒・喫煙・フラッシングのある方は、積極的に内視鏡検査をすることをお勧めします。

胃の病気

急性胃炎
症状 みぞおちの痛み・吐き気・食欲不振・お腹のはり(腹部膨満感)・吐血・下血
説明 抗生剤・ステロイド・痛み止めなどのお薬や、アルコールの摂取、ストレス、刺激の強い食べ物、ヘリコバクターピロリ感染などで、胃粘膜の防御機構が破綻し炎症を起こします。
予防・治療法 上記の発症リスクを高める原因を取り除き、適切な薬物療法をすることで急速に改善しますが、症状がひどい場合は入院となることもあります。

慢性胃炎
症状 無症状・胃の不快感・胃もたれや腹痛・食欲不振・胸焼け・吐き気 など
説明 慢性胃炎は病理組織学的診断名であり、胃粘膜の胃腺(胃液を産生する)の減少、萎縮、炎症細胞の浸潤を特徴とします。その約80%はヘリコバクターピロリ感染が原因とされており、胃の出口付近で胃炎(B型胃炎)を起こします。また、胃の入口付近に胃炎が起こる、自己免疫による自己免疫性胃炎(A型胃炎)などもあり、進行すると悪性貧血が出現します。
予防・治療法 胃カメラ(上部内視鏡)検査・組織検査によって診断し、ヘリコバクターピロリ感染がある場合は除菌療法を行います。
慢性胃炎がある方は、ピロリ菌を除菌した後でも発がんのリスクは高いままですので、年に一回胃カメラ(内視鏡)を行うことが推奨されています。

機能性胃腸症(functional dyspepsia ; FD)
症状 辛いと感じる食後胃もたれ、早期飽満感(少量のみで満腹になること)、みぞおちの痛み、みぞおちの焼ける感じ(灼熱感)
説明 機能性胃腸症は、上記4つの症状のいずれかが1つ以上あり、かつ原因となり得る器質的疾患が、胃カメラ・血液検査・腹部超音波検査などで確認されない場合診断となります。(ROME Ⅲによる診断基準)原因は未だ明確とはなっていませんが、消化管運動異常・ピロリ菌感染・胃酸分泌過多・心身症(うつ病)などが考えられています
予防・治療法 治療は症状に合わせて、内服薬を調整していきますが、病院に来院されお話しすることで症状が緩和される方もいらっしゃいます。

胃潰瘍
症状 食後に増強するみぞおちの痛み、お腹のはり(腹部膨満感)、吐血、下血、吐き気(嘔気) など
説明 90%以上の大多数はヘリコバクターピロリの感染により胃の防御機構が障害され発症します。それ以外にも、鎮痛剤やステロイドの内服、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)などでも発症します。
予防・治療法 治療は制酸剤および粘膜保護剤などの内服加療が一般的ですが、出血したり潰瘍が深く穴が開いたりしそうな場合は入院加療が必要となります。また内視鏡にて確認後、悪性でないことを組織検査にて行い、ピロリ菌がいる場合は除菌療法を行います。

胃ポリープ
症状 基本的には症状はありませんが、ポリープの種類によっては貧血やがん化することもあるポリープもあります。
ポリープの種類 胃底腺ポリープ
ピロリ菌に未感染の健康な胃にできるポリープです。これがある人はがんになりにくいとされています。特に治療の必要はありません。
過形成性ポリープ
ピロリ菌感染との関係が指摘されており貧血の原因や、まれにがん化(1%程度)する事もあるので、年一回の胃カメラ(上部内視鏡)検査・組織検査が必要です。
胃腺腫
良性と悪性の中間の状態です。従って、定期的に組織検査が必要となります。組織検査によって、細胞の変化が低いもの・中間のものは経過観察となりますが・高いものは早期胃がんに準じて内視鏡治療の適応となります。

胃がん
症状 上腹部の痛み・吐き気・げっぷ・漠然とした不快感 など
説明 胃がんは減少傾向にはありますが、いまだに死亡原因で上位に入る病気です。喫煙・塩分の過剰摂取・β‐カロチンの摂取不足などがあげられますが、現在ではピロリ菌の感染により胃がんの発生率が高くなることが証明されました。
予防・治療法 現在は内視鏡診断・治療が飛躍的に進歩し、早期胃がんであれば、お腹を切る手術をしなくても内視鏡で治癒が可能な時代となっています。それには、危険因子がある人はピロリ菌の除菌も含め、年一回の胃カメラ(上部内視鏡)検査が必要です。検査が辛くて、症状がないからと検査をしないままでいると進行がんとなり命を落とすことになります。

十二指腸の病気

十二指腸潰瘍
症状 空腹時・夜間のみぞおちの痛み、背中の痛み、吐血・下血
説明 胃酸過多とピロリ感染が原因とされています。それ以外にも、鎮痛剤・抗血小板薬などの内服や喫煙、頻度は少ないですが胃酸分泌を促進させるような内分泌腫瘍も原因とされています。
予防・治療法 基本的には制酸剤の内服とピロリ菌の除菌が必要です。

大腸の病気

感染性腸炎
症状 発熱・腹痛・悪心・嘔吐・下痢・脱水 など
説明 食中毒や海外渡航による、細菌・ウィルスの感染によって発症します。
ウィルス性は、ノロウィルス・ロタウィルウ・アデノウィルスなどが有名で、小腸の炎症(小腸炎型)が主体で多量の水様性下痢・度重なる嘔吐となるのが特徴です。
細菌性は、サルモネラ・腸炎ビブリオ・キャンピロバクター・病原性大腸菌などが有名で、大腸の炎症(大腸炎型)が主体で、粘血便・頻回の便意・しぶり腹となり、潜伏期間も10数時間から数日と長いのが特徴です。
しかし、細菌性の中でも毒素型のブドウ球菌などは潜伏期間が4~12時間と短く、小腸炎型の症状を示します。
また、腸管出血性大腸菌0-157は、安易な抗生剤の投与にてベロ毒素が放出され、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を合併し、場合によっては高度な医療処置が必要となることもあります。
予防・治療法 感染性腸炎を疑われた場合は、抗生剤を勝手に内服したりせず、直ちに来院してください。また、問診票になるべく食べたものの記載をお願いいたします。

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome ; IBS)
症状 便秘・下痢・腹痛・腹部不快感
説明 内視鏡検査などで原因となる病気が見つからず、過去3ヵ月間において、1ヵ月に3日以上にわたって、腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、①排便によって症状が軽減する、②発症時に排便頻度の変化がある、③発症時に便形状(外観)の変化がある、の3項目のうち2項目以上を満たすものをIBSとしています。
原因としてはストレスなどの心因的要因や自律神経の調整異常、腸内神経伝達物質の分泌異常などが指摘されています。
予防・治療法 症状に合わせて内服薬を調整していきますが、心理的要因の排除なども重要ですので、不安な事はどんどん遠慮せずに質問してください。

炎症性腸疾患(IBD)
※厚生労働所の難病医療費助成制度が適応されます。
潰瘍性大腸炎
症状 下痢・粘血便・腹痛・発熱・貧血・体重減少 など
説明 20歳代に多く見られ、大腸の粘膜に肛門より連続してびまん性に炎症を起こす疾患です。便の培養検査・大腸内視鏡検査・組織検査・血液検査など組み合わせて診断します。原因は未だにはっきりと解明されてはいません。
予防・治療法 治療は、腸の炎症を抑える飲み薬や座薬・注腸(おしりから液体の薬剤を注入する)・整腸剤などが中心ですが、病状が悪い時は、入院にてステロイド・免疫調整剤・抗TNFα抗体などの点滴・皮下注射、血液ろ過療法などが必要となります。近年では糞便移植療法や抗生剤療法なども研究されており、ご要望があれば研究施設へのご紹介もさせて頂きます。
この病気は根治することが難しく、腸の炎症をいかに長く抑え込むかが治療の要となってきます。また、慢性的に炎症が続くと大腸がんの発生のリスクとなりますので、定期的な通院・および年一回の大腸カメラ(下部内視鏡検査)が重要です。

クローン病
症状 腹痛・下痢・体重減少・栄養障害・痔ろう・肛門潰瘍 など
説明 若年者に多く見られる原因不明の慢性非特異性炎症性疾患です。潰瘍性大腸炎とは異なり、口から肛門まで全ての消化管に炎症を起こし、ひどい場合は狭窄(腸が細くなる)し腸閉塞を合併したり、穿孔(腸に穴が開く)し手術が必要となったりします。
予防・治療法 治療は、腸の炎症を抑える飲み薬・ステロイド・免疫調整剤・抗TNFα抗体の点滴・皮下注射などと、栄養剤などの成分栄養療法が行われます。

大腸ポリープ
症状 多くの場合は無症状です。検診での便潜血反応陽性で発見されることが多いです。
説明 ポリープは小腸に発生することはまれで、遺伝的な疾患では小腸に発生することもありますが、多くは大腸に発生します。炎症性ポリープ・過誤腫性ポリープ・過形成性ポリープ・腺腫性ポリープなどに分類されます。
予防・治療法 腺腫性ポリープは、大きさに関わらずがん化する事がありますので切除の対象となります。当院では、大腸カメラ(下部内視鏡検査)時に大きさに関わらず病変の血管をNBI(Narrow Band Imaging)という特殊な光をあてて拡大観察を行い、しっかりと診断した上で必要であればその場で切除します。しかし、悪性(がん)が疑われ、内視鏡で切除可能でも他の臓器に転移する可能性が高い病変に関しては、高度医療機関にご紹介させて頂きます。
現在では大腸がんは早い段階で発見・切除できれば根治が可能な時代です。なるべく苦痛のない検査をご提供致しますので、大腸内視鏡を積極的に受けましょう。

大腸がん
症状 便秘・下痢・血便・腹痛・腸閉塞
説明 大腸がんの発生と食事との関係は古くから指摘されており、食の欧米化(脂肪摂取・加工肉の摂取)・喫煙・飲酒・糖尿病などが原因とされています。現在では遺伝子異常が多段階に起こりがんが発生するというところまで解明されてきています。
予防・治療法 発生初期には自覚症状のない場合が多く、症状が出てからでは進行がんとなっている可能性があります。よって、早期発見には定期的な大腸がん検診が必要ですが、現在広く行われているのは便潜血検査です。これは簡便で苦痛もありませんが、進行がんがあっても10%、早期がんに至っては50%が偽陰性(見落とし)となると報告されています。検診で便潜血反応が陰性でも安心できませんので、内視鏡検査を行うことをお勧めいたします。
早期に発見でき、がんが奥深くまで入り込んでない状態であれば、お腹を切らなくても内視鏡で切除が可能です。また、深く入り込んでしまっていても、腹腔鏡手術にて小さな傷で侵襲(きず等)の少ない手術が可能です。そのような場合は迅速に関連病院へご紹介させて頂きます。

肛門の病気

肛門疾患(一般)
症状 血便(真っ赤な血がティッシュに付着する)、便秘、肛門周囲の発赤・熱感・疼痛・かゆみ・腫脹(しこり)など
症状 いずれの肛門疾患も、痔があるからと放置しておくと炎症性腸疾患や大腸がんを見過ごし兼ねませんので、恥ずかしがらずに遠慮なくご相談ください。必要があれば大腸カメラ(下部内視鏡検査)をお勧めいたします。
尚、肛門疾患で外科的処置が必要な場合は、肛門外科専門病院と連携しご紹介させて頂きます。
肛門疾患の種類 裂肛(切れ痔)
勢いよく排便したり固い便をしたりした時に、肛門の一部の皮膚が裂けたことによって起こります。軟膏の塗布や便秘のコントロールを行います。
内痔核
長く立ち仕事をする方や便秘・妊娠中の方などに起こりやすい病気です。肛門周囲の静脈が拡張してしまい、出血や痔の肛門外への脱出が認められます。
出血が頻回で一回量が多かったり、痔が自然に肛門内に収まらなくなったりした場合は手術の適応となります。基本的には痛みはありません。
外痔核
固い便を勢いよく排便したり、肛門を強く拭いたりして出来た血豆の様なものです。最初は痛みがありますが、1週間程度で軽減します。
腫れがひどい場合は血豆を取り除く手術をすることもあります。
肛門周囲膿瘍
肛門の皮膚と腸の粘膜の境目にくぼみががあります。(肛門陰窩)そこから菌が侵入し、痛み・発熱・腫れなどを引き起こします。切開排膿が必要な場合があります。
痔ろう
肛門周囲膿瘍が原因で腸とおしりの皮膚に道(瘻孔)ができてしまったものです。根治するには外科的手術が必要です。